地下鉄の「徐家汇」駅から徒歩5分ほど。
衡山路に面した洋館群・衡山坊の中に、上海一美しいとも言われた書店「衡山和集」があります。
(写真:衡山和集の外観)
この洋館の1階から3階まで、すべて書店です。
2015年にオープンして以来、8年間、文化発信の拠点として存在感を示していました。
それが、今月末で閉店になるとの発表がありました。(2023年8月31日閉店へ)
去年も一度、場所の契約更新の問題から閉店すると発表していたのですが、その際はなんとか持ち直し。
でも、今回は本当に一度これで幕引きのようです。
イベントも多く行い、カフェも併設して集客の多い書店でしたが、売り上げ以上に場所代の問題が大きかったのではと想像されます。
(入口には「今月、閉店するのは本当です。楽しい話ではないので、どうか取材しないで」の張り紙)
閉店に至るまでの苦悩はあったのだろうなと。
閉店までのカウントダウンが始まっていました。
私が訪れた8月25日は、書店にとって最後の金曜日と立て看板。
1階入り口は行ってすぐの場所。
併設のカフェでゆっくり本を読むこともでき、とても落ち着いた空間。
書店のあちこちにも読書スペース。
若い人がたくさんです。
本のセレクションがいいんですよね。
日本の漫画の翻訳本などのとりそろえも豊富。
『SPY&FAMILY』は中国でも人気ですが、中国語版の漫画も翻訳出版されていたんですね。
中国語タイトルは、『間諜×過家家』。
『間諜×過家家』
著:遠藤達哉 訳:厳文瑾
文化発展出版社 25元
現在、閉店セール中で、すべての書籍・雑誌が割り引になっていました。
上記第1巻を18.8元で購入。
発売された時期によって割引率が変わるという表示。
古い雑誌は9割引き!
2階の読書エリア。贅沢な空間です。
2階には展示スペースもあり、最後に「金宇澄版画展」が行われていました。
「宿舎」という作品。中国の昔の寮の雰囲気をよく描いているなあと。
2階から3階へ。天井まで雑誌でいっぱい。
日本の雑誌もよくそろっていました。
日本の生活スタイルを提案する『BRUTUS』、『POPEYE』などは、若者からの支持もアツく。
ほかにも『和樂』や移住雑誌なども。
各国の雑誌を取り扱っています。
3階のイベントスペース。
ここで様々な文化イベントが行われてきました。
上野千鶴子先生は、中国で知名度と人気がぐっとあがっています。
アクセスも最高で、落ち着いてセンスのいい書店。
今月末でお別れなんて寂しい限り。
上海で場所を維持する難しさを改めて痛感。
書店では微博のフォローキャンペーンなども行っていたので、また何か違う形での再建を考えていそう。それを楽しみに待ちたいと思います。
衡山·和集(徐汇店)
上海市徐汇区衡山路880号