「中華オタ」の推し活記録

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浙江衛星『中国好声音』が放送停止 自殺した李玟の遺した声が世論を動かす

7月に香港出身の歌手・李玟(CoCo、ココ・リー)が亡くなったというのは、

心の痛むとてもショックな出来事でした。

chaiota.hatenablog.com

 

彼女は去年(2022年)に浙江衛星で放送した『中国好声音』で、審査員(参加歌手の指導を含む)でしたが、その番組制作側の態度があまりにひどかったと涙ながらに訴えた音声ファイル(9分間)が流出しました。

それまでにも金儲け主義の番組制作側と、真摯に審査・指導する李玟はたびたびぶつかっていたと言います。

そして、今回流失した音声では、李玟が自分の尊厳をないがしろにされ、侮辱されたと涙ながらに訴えていて、聞くのにもつらい音声でした。

(李玟は事前に足の痛みを訴えていて、一緒に参加する歌手が彼女の手を取り支えながら歌う演出を約束していたにも関わらず、一人で舞台に立たされ、結局舞台上で転び嘲笑された、など聞くに堪えない内容です)

 

この音声を聞き、指導を受けた歌手や、芸能界の仲間、そしてファンたちが次々に声を上げ、番組の制作体制に対して疑問と批判を投げかけました。

 

事態が世論を巻き込んで大きくなったことを受け、

2023年8月25日、放送局である浙江衛星は現在放送中の『中国好声音』2023年の放送停止を発表し、事態の調査を行っていることを発表しました。

(浙江衛星の微博と、網易ニュースページより)

浙江衛星の微博(ウェイボー)は転送2.1万回、コメント7.2万、いいね81万と

注目の高さがわかります。

 

ネットでは世論の批判と感情が届いたとの声も多く。

情熱的で、つねに真剣に歌や歌手たちと向き合ってきた「熱い」李玟に対して、あまりにも「冷たい」「冷酷な」番組側の態度が対比的に際立ちました。

(微博より)

 

ここのところ、SNSなどを通して、中国で一気に訴えが広がることが増えましたね。

制御するよりも先に一気に拡散することが多く。

今回の場合は、李玟の命をかけた思いが届いたと信じたいです。

 

さらには、番組の母体である「星空華文」の株価も8%以上の急落。

この事態に紐づき、李玟だけでなくこれまでの番組や局にまつわる黒い話が噴出していて、しばらくは収まらなそうです。

 

(百度ニュースページより)

 

中国でリアリティから誕生するスターは、カネのなる木と言われることも多く。

そこには仕組まれた金儲けの仕組みと、それに反発する人を抑えつける強い力があるようで。

今回は、音楽仲間やファンや純粋な思いが世論を動かしたと言えるかもしれません。