今日、8月22日は七夕でした。
というと、日本的にはちょっとピンときませんが、中国ではこうした暦の日はいまだに旧暦でカウントするんですよね。
今年は今日が旧暦の7月7日ということで。
ここ数年、七夕は中国のバレンタインデーということで、まあまあ盛り上がっています。
映画のチケットサイト「淘票票」のトップページもこんな感じに。
七夕の今日、2本の恋愛映画が封切になりました。
1本目は、まさに正統恋愛映画って香りがします。
『念念相忘』
主演は、劉浩存&宋威龍
コピーは「今年七夕想念不如相见」(今年の七夕は想うより会おう)
もう1本は…
『燃冬』
主演:周冬雨、劉昊然、屈楚蕭
監督:陳哲芸
コピーは「七夕必看大胆愛」(七夕は絶対見るべき、大胆な愛)
周冬雨推しの私としては、『燃冬』を見てきました。
恋愛映画とも言い難い、ちょっと不思議な映画でした。
ポスター的には三角関係の物語?と思っていたのですが、もうちょっと曖昧で3人がつながり合う数日の日々というか…
生きづらい世の中をなんとかバランスをとりながら生きている3人が、お互いの心に寄り添うアンバランスで絶妙な三角関係。
周冬雨:
とても雰囲気のある女優さんで、推しです。
周迅からの流れを継ぐような、低音ボイスで中性的な魅力があり、ついつい引き込まれます。
ちょっと大人になって、今回はくわえたばこが似合うちょっとやさぐれ感もある役。
そこには、スケート選手としての夢を断たれた過去があり…
【あらすじ】(ネタバレあり)
劉昊然(役の青年は)、同級生の結婚式に参加しに上海から延吉にやってくる。
にぎやかな披露宴になじめず、精神科からの電話がかかってきたり、ビルの屋上から下を眺めたりと不穏な様子。
次の日彼は、一人日帰りバスツアーに参加している。
そのバスガイドは、朝鮮族の周冬雨。
ツアーの最後に、劉昊然はスマホをなくし、そんな彼を見て周冬雨は屈楚蕭との食事に誘い…
そこから3人で過ごす数日が始まります。
ある熱い冬の物語。
男×女×男
それぞれに鬱屈と抑圧された日々を過ごしていて、3人でいる時だけ童心に帰ったようにはじけた顔を見せる。
でも、歌を聞いては涙したり、氷をかじっては涙したりと、多くを語らず、だからこそそこはかとない不安と背中合わせの特別な時間。
次の夜、周冬雨と劉昊然は一夜を過ごしますが、彼女のすねの傷(比喩ではなく実際に足に大きな傷があり)をいたわりながらつながる描写は心に残るシーン。
そこからは、3人で「天池」を目指すロードムービーのような展開にもなり。
この3人が外で過ごす時間は、岩井俊二監督の『PiCNiC』を久しぶりに思い出し。
なんだか切なく、楽しいのに不安を感じてしまう3人の時間。
最後は、救いのないままそれぞれの日常に帰っていくのですが、そっと家を出ようとする屈楚蕭を後ろからハグする周冬雨。すでに3人の時間の終わりの予感なんですよね。
そしてその後の、シャワーカーテン越しの周冬雨と劉昊然のシーンは、一言もセリフがないまま、ぐっとくるものがあり。
そっと、腕時計を外して置く劉昊然。
語りすぎず、曖昧なことは曖昧のままエンドロールになりました。
映画サイトで、まるで日本の純愛映画を見ているようだとの書き込みがあり、なるほどと。中国の映画はセリフで語り倒すことが多いですものね。
なんだか分からないもやもやを抱えたままなのも、ある意味現実なのかもと。
↑『猫妖伝』や『唐人街』でも人気の劉昊然。
今回は少し心を病んでる地方出身の青年役で、ちょっと雰囲気がバカリズムっぽかったかも。
↑屈楚蕭
途中ギターの弾き語りのシーンがありましたが、びっくりするほど上手く、歌が心に響きました。
映画鑑賞記録:
2023年8月22日 七夕に上海にて封切の『燃冬』を鑑賞
映画館に行く途中、花を彼女に贈るカップルを見かけました。
やっぱり七夕だなあ。
全家(ファミリーマート)で売っていた七夕用の花束。(20元/1束)
中に花でないものが…。