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神仙映画『封神』(第一部)が大ヒット中

明代・許仲琳が書いた神仙小説『封神演義』を原作とした映画『封神』。

『ロード・オブ・ザ・リング』並みに壮大な世界観で、3部作で予定されているとか。

中国で、2023年7月20日から第一部が公開になっています。

 

 

【大ヒット公開中】

大ヒットをうけ、10月19日まで公開が延長されました。

中国では異例の3カ月ロングラン公開中です。

公開延期を、中国語で「密钥延期」というのですが、近年時々目にしますね。

 

興行収入は26億元突破、累計観客数は6000万人突破です。

第二、第三部はすでに撮影は終わっているそうで、ポスプロ費は第一部の興行収入次第と言われていたので、これで第二、第三部も期待できそうです。

公開は来年の予定とか。

 

【封神(第一部)】あらすじ

世界が仙界と人界に分かれていた、遥か昔の物語。

人界は殷商・紂王の治世の治世。

紂王が制圧した冀州侯の娘・妲己が自殺したところに、千年生きた狐狸の精が宿ります。

憑りつかれた妲己は、紂王に「あなたの願いをかなえよう」と甘い言葉で誘惑します。これ以降紂王は、妲己に操られるまま次第に暴政を行うようになっていき…

 

一方仙界では、闡教の教主・元始天尊門下の崑崙十二大仙が、千五百年に一度の逃れられぬ劫として、人を殺さねばならないことになっていた。また昊天上帝(天帝)が彼ら十二人を臣下に命じたことから、殷周革命に関わる闡教徒、截教徒、人道の中から「仙ならざる仙」、「人ならざる人」達を三百六十五位の「神」として「封(ほう)」じる「封神」の儀式を行うことになった。

天命により、この封神の執行者として選ばれたのが、崑崙の道士の一人であった姜子牙、後に周国の丞相となる太公望である。

(このあたりはウィキペディアの『封神演義』より。ここは背景として映画でも踏襲)

 

神を封じる「封神」が、姜子牙に託されます。

封神を手にした姜子牙は、仙人としての力を失い、お付きに仙人として力のある哪吒(少年・ナジャです!)と楊戩が一緒に人界に向かいます。

姜子牙は、名君として知られていた紂王を神として封じようとしましたが、妲己に操られて暴君になっていることを知り、慌てて方向転換。

紂王は姜子牙が持つ「封神」の力を求め、彼らを追い回します。

 

紂王の暴君ぶりに周りの諸侯たちも立ち上がりますが、紂王の元には諸侯の息子たちが人質の王子として忠実に育てられていました。

自分に忠誠を誓わせ、踏み絵のように実の父親殺しを命じる紂王。

このあたりの父と息子たちのドラマが第一部の見せどころ。

(自分の身代わりに死んだ息子の肉を、知らずに紂王に食べさせられるという鬼畜ぶりは、古代中国らしいエピソードというか…)

 

そして一方で、力をつけた妲己は、紂王の正妻を殺します。

妲己の正体に気づいた紂王の息子(殷郊)は、妲己を殺そうとして、反対に父親・紂王怒りに触れて死刑を命じられ、首を落とされます。

第一部は、姜子牙たちはこの殺された息子に神を託そうと、落とされた首をあわてて哪吒たちが仙界に送り届ける…というあたりで終わりました。

 

【見どころ】

中国の人たちにとっては、おなじみのオールキャストが登場するというワクワク感があるようで。

ドラマ『封神榜』は、1990年に上海電視劇制作中心により制作・放映され、大人気だったとか。(全36話。日本未公開)

最新のCGをたっぷり使用し、キャラクターの新鮮な解釈も盛り込みながら、泣かせる親子の人間ドラマもありと、ロングランヒットになってるんですね。

いろいろ突っ込みどころもある映画ですが、それを監督自らが解説する動画も人気に。

 

例えば、饕餮が追いかけてくる場面があるのですが、饕餮が水たまりを踏んで水が弱点だと気がつくというシーン。饕餮が水に触れてたって、監督の解説聞いて、初めて分かりました!

逃げていた姬発(きはつ)はなぜぼーっと振り返っているんだろうと思ってたので…。

今回の第一部では、主役ともいえる「姫発」(役者・于適)

 

【登場人物・役者】

殷商末代の君主・紂王(殷寿)、演じるのは、費翔。

台湾生まれ、アメリカ人ハーフ。50代後半にして、ムキムキセクシーです。

 

新しい妲己の魅力を見せた娜然。

ロシア人の女優さんです。中国語が堪能!1997年生まれ。

全身から色気があふれ、狐の精が憑依した演技は抜群でした。今後も楽しみ。

 


姜子牙を演じた黄渤(ファン・ボー)

中国映画で今や欠かせない俳優です。

コメディもシリアスもうまく、映画の緩急を作り出してるのは彼と言っても過言ではないかも。(ほかはみんな真面目路線なので)

 

待ってました哪吒!(役者・武亜凡)

 近年アニメ化されたりと、個人的にはなじみのあるキャラクター。

映画では、小柄な少年ながらも絶大な仙力で大暴れしています。

師匠の姜子牙は人間に戻ったでくの坊なので、常にフォロー。

ただ、命令ですぐに仙界に届け物などで戻されて、映画の半分くらいはいません。

でくの坊の姜子牙だけ残してどうするの?と突っ込みが入るところ。

 

哪吒とセットですが、影の薄い楊戩(役者・此沙)

しょっちゅう仙界に哪吒と一緒に帰っちゃうんですよね。

君は残ったら?と思うのですが、監督曰く、哪吒は未成年だから、成人の付き添いが必要なんだとか。

 

そして、注目は夏雨が演じる悪の手先・申公豹。

名作『太陽の少年』(1994年)の主演の彼です!

最初、あまりの特殊メイクでどれが夏雨か分からなかったくらい…

 

そして、紂王の正妻を演じたのが袁泉。

袁泉と夏雨は、実生活では夫婦で、その共演も話題に。

エンドロールでは2人の名前が並んで出るという粋な演出も!

と、役者的にも見どころ満載の映画です。

第二部は、来年かあ。楽しみだけど、先ですね。

 

 

『封神第一部』

Creation of The God:Kingdom of Storms

監督:烏尔善

出演:費翔、李雪健、黄渤、娜然、于适、陳牧馳、此沙、武亜凡、夏雨、袁泉、王洛勇、侯雯元、黄曦彦、李昀鋭、陳坤 

尺:148 分

公開:2023年7月20日