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『宇宙探偵編集部』の映画レビュー

 

孔子の子孫・孔大山監督の話題作、『宇宙探偵編集部』を日本滞在中に見てきました。

北京電影学院の卒業制作にして、初の長編監督作となる本作は、平遥国際映画祭で最優秀作品賞、北京国際映画祭の「注目未来」部門の作品賞を受賞と世界的に注目を集めている作品。

卒業制作と言っても、短編で話題になっていた監督への期待から4億円が集まった大型作品です。

 

 

【あらすじ】

かつては時代の波に乗りメディアにもてはやされ活気のあったUFO雑誌[宇宙探索]。今や編集部員も減り廃刊寸前、電気代さえ払えないほどの存続の危機を迎えていた。そんな時、[宇宙探索]編集長のタンは、中国西部の村に宇宙人が現れたという情報を掴み、仲間たちを引き連れて西へと向かう。そこで彼らを待ち受けていたのは、予想と人智をはるかに超えた出来事だった…果たしてタンたちは宇宙人に出会えるのか? そして、タンの心の奥にある想いとは?

公式サイトより https://moviola.jp/uchutansaku

 

最初は、宇宙人を探すB級SF作品かと思っていたのですが、宇宙ロマンと生きにくい人生を考えるロードムービーだったなあと。

くすくすと笑いながら見ていたら、最後は宇宙の真理にたどり着いたような壮大な物語でした。

 

映画のラスト:(ネタバレアリ)

詩人は宇宙へと消え、最後に残る鍋1つ。

宇宙には行けず取り残されたタンに自然と浮かび上がる笑み。

宇宙の果てで見た宇宙の輪郭。

それが休刊前の「宇宙探索」最終号の表紙であり、映画のラストとなる。

(豪華なCG。まるで壮大な海に広がる螺旋)

 

宇宙はなぜ始まり、人類はなぜ存在するのか。

私たち一人一人の中にある、一人一人が文字であり、合わせて文になる。

タンが最後に精神病院のイベントで読み上げなかった詩。どんな文字が書かれていたのか。

 

「宇宙探索」という雑誌が、まさに中国の「ムー」という感じ。

日本での上映がムーと提携しているのは、膝を打つほど納得!

 

常に宇宙からのメッセージにアンテナを張り続けている編集長のタン。

あまりに宇宙にのめりこみすぎて、周りからはすっかり変人扱い。

娘が欝で自殺しているという切ない背景。

そして精神病院で講演を行い、お小遣い程度の謝礼をもらっている。

 

宇宙と交信する詩人。

あふれてくる言葉のシャワーがすごかったです。

詩人と同じく鍋をかぶっていったら、チケット割引があったのですが、かぶっていく勇気がなく…

 

パート編集部員を演じたアイ・リーヤー[艾麗婭] さん。

せっかくクライアントを見つけたと思ったら、窓を壊す羽目になって寒い編集部で働くわ、最後に野良犬に噛まれるわで、散々でしたね。

彼女が現実とのつなぎになっているというか、しめてくれてました。

 

ラスト近くに出てきたこの宇宙船?

なんだったのか気になるところ。

 

↓このテレビで宇宙と交信は好きなシーンです。

 

ヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞

 

宇宙探索編輯部

監督・共同脚本:コン・ダーシャン[孔大山] Kong Dashan

公開日:中国では2023年4月、日本では2023年10月

製作年:2021

上映時間:118分