今年も残すところがあとわずかになってきましたね。
すっかりアップが遅くなりましたが、東京フィルメックスで上映された『椰子の高さ』のことを記録メモ的にアップしておきます。
『椰子の高さ』
日本 / 2024 / 100分
監督:ドゥ・ジエ(DU Jie)物語は2組のカップルを中心に展開する。一人の青年は写真家の恋人を自殺で亡くしてしまうが、彼女との生前と死後のエピソードが、時間軸をずらす形で物語に織り込まれていく。もう一つの中心になるのがペット関係の店で働く女性と日本料理店で働く男性の関係を描いた物語で、料理中の魚の内臓の中に指輪を偶然見つけたことをきっかけに二人は結婚を計画するが、ハネムーンの直前に彼らの関係は破局を迎える……。本作はチェン・スーチェン、グァン・フー、ニン・ハオといった名だたる監督たちの下で20本以上の映画を撮影してきたベテラン撮影監督のドゥ・ジエの長編監督デビュー作で、脚本、撮影、編集、美術もドゥ自身が担っている。20年初頭にコロナ禍が始まった際に日本で家族と休暇を過ごしていたドゥはそのまま短編シナリオ小説を日本で書き始め、そのうちの一つを映画化したのが本作だという。東京で大部分が撮影されたチェン・スーチェン監督作『唐人街探偵 東京MISSION』(2021)の主要な制作スタッフの多くが今作にも関わっている。釜山映画祭のニューカレンツ部門で初上映された。
フィルメックスサイト:
紹介にもあるように、『唐人街探偵』シリーズの撮影監督・杜杰氏の初映画監督作品。
美しい映像の切り取りはさすが!
監督:ドゥ・ジエ(DU Jie)
1976年に生まれ、2001年に北京電影学院の撮影学科を卒業。映画撮影監督として撮影した作品が成功を収め、広く注目を集めた。撮影した映画は、ベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭、東京国際映画祭、台湾金馬奨、香港アジア映画大賞、中国金鶏奨などにノミネートされた。2024年にアメリカ撮影監督協会(ASC)に加入、同年監督として長編デビュー作『椰子の高さ』を完成させ、その作品は釜山国際映画祭のニューカレンツにてノミネートされた。
ただ、監督が自らオフライン編集もされていたそうで、思いの強さから切り切れなかったのかなあと思うような場面や、音の混乱も少々。
そういう冗漫とも感じるところも含めて、監督の思いがたっぷりつまっているのを感じ。コロナ禍に日本に滞在していた監督が、美しい・面白いと感じた日本の追体験のようでもあり。葉山にある廃園となった幼稚園が出てきたのは驚き。
さらには高知の足摺岬にある白山洞門や地獄の穴など。
外国人監督の新鮮な視点で切り取る日本の物語。
上映の後、監督や役者の方々の舞台挨拶があり。
日本語のできない監督と、一つの作品を作り上げる過程の裏話などを聞き。
時間をかけて対話して作り上げたのだなと伝わってきました。
そして、日本の役者さんはオーディション時から役への向き合いが真摯ですよね。
自前で衣装したり、魚をさばく練習したり、本物を極めようとする意気込みを感じます。
(中国ではこういう役づくりエピソードをあまり聞かない気がします)
短編として制作していた映画を、1年の期間をおいて追撮して長編映画に仕上げたそうで、新たに撮影された過去パートなどで重厚感が増していたなと。
上映会後に、映画上映会場から近い銀座の単向書店で、引き続き交流会が行われ。
監督の次回作にも期待です。
日本で三部作とか作ってほしいですね。