『非诚勿扰』(狙った恋の落とし方)という映画を覚えていますか?
2008年に中国で公開されて、ロケ地となった北海道が中国で一大ブームとなった映画です。
監督は、馮小剛(フォン・シャオガン)で、映画興行収入2.6億元を記録。
さらに2年後の2010年年末に、パート2が公開され、興行収入4.71億元の大ヒットとなりました。
そして15年の時を経て、パート3がシリーズ完結編として2024年元旦映画として公開されました。
主演は変わらずの葛優(グォ・ヨウ)と舒淇(スー・チー)。
パート1では、お見合いで出会った2人です。
パート2では、ついにプロポーズ、
パート3では、結婚した2人のその後が描かれます。
【あらすじ】(ネタバレあり)
物語は2031年。
秦奮(葛優演じる)は70歳になっています。
(なんとなんと!実際の葛優もすでに65歳!)
秦奮と笑笑(スー・チー演じる)は結婚20周年。
でも、笑笑は10周年の結婚記念旅行で、海岸のゴミ拾いのボランティアの人たちに出会って感化され、その後世界でゴミ拾いの旅を続け家には帰ってきていません。
いつ笑笑が帰ってきてもいいように、秦奮は引っ越さないまま、同じ家で1人暮らしを続けていて…
↑このパート2のポスターになっていた、つり橋の先の山の上の家が今回も舞台。
カラフルで素敵な内装の家です。
(映画では秦奮が自分でリフォームしているという設定)
そこに、老範(範偉が演じる)が開発した笑笑そっくりの高性能のAIロボットが贈られます。
お久しぶりの老範も秦奮と同じく年を重ねていますね。
映画の物語は、家にやってきたAIロボットの笑笑と秦奮が繰り広げる悲喜こもごも、そこに本物の笑笑が帰ってきて入れ替わり、どっちがどっち?という、まあよくありそうな展開に。
でもなんといっても、見どころはパート1やパート2の振り返りや、登場してきたキャラたちの再登場で、懐かしさ満載なところ!
さらに馮小剛監督の2013年の作品『私人定制』を彷彿させるような場面もあり。
↓北海道のウーさん(邬逸聡演じる)も遊びに来ます。
懲りずにまた四姉妹のいるお店に行きますが、今度は…
老範との老友との交わりもいいなあ。
そして、パート2で「お別れ会」をしてから亡くなった李香山(孫紅雷演じる)の元妻とその娘もやってきます。
娘の川川(関暁彤演じる)も大きくなってる!
↓パート2で親友の李香山が、船から自ら落ちるという死を選んだ時に立ち会った秦奮。今でも忘れられないつらい記憶。
オールスターがアンコール登場という感じでしたね。
15年という(映画は未来設定だったので、もっと時間が経っていますが)時間の流れを感じた作品でした。
パート1の名シーンも再び。
ぐっときたのは、映画が終わった後にエンドロールの前に流れた「彩蛋」(おまけ映像)。
主演の葛優(グォ・ヨウ)と舒淇(スー・チー)の2人が並んで座り、お別れの挨拶。
この15年、見ている皆さんも色々生活ステージが変わったでしょう。
これでこの映画シリーズは完結です、と。
葛優が「70歳にもなって、もう恋愛話はムリさ~」と笑い飛ばす一方で、
スー・チーは「笑笑という役と離れがたいわあ」と、しんみり。
(スー・チーは相変わらず美し!)
パート1を見ていた当時から、今までを自分自身の人生とあわせて振り返るような作品だったなあと。
ギボムスのように、登場人物の変化や成長に、自身の時の流れが投影され。
(パート1の日本公開時のポスター)
寂しいけれど、人気シリーズがこうしてきちんと「句点」を打って終われるというのは、なかなか少ないことなのかもと。
『男はつらいよ』のように、終わらず旅を続けてほしい気持もありましたが。
と、しんみりしみじみよかったなあと見終えたのは、中高年観客だけだったようで…。
パート3で、シリーズをはじめてみるような若者層は、確かに乗れないでしょうし、
それにプロダクトプレイスメント(車とかいろいろ)が多くて気になるという声も。
(前作の2からかなり時間もあいてますしね)
ネットでは監督の馮小剛は「もう終わった人だ」とか、2024年最初の「烂片」(駄作)なんて厳しい声もみかけます。
そんなこんなで、公開1カ月近くたっても、興行収入は1億元に届かず。
シリーズ最終作としては、なんとも寂しい幕切れです。
(私としては、公開館が少なかったことも興行に響いていると。ヒットが見込めないから上映館を減らしたのかもしれませんが、あからさますぎる!)
馮小剛監督の次回作にも、まだまだ期待しています!
映画情報メモ:
『非诚勿扰3』
英語タイトル:、IF YOU ARE THE ONE Ⅲ
監督:馮小剛
出演:葛優、舒淇、範偉、李成儒、岳云鵬、常遠
中国公開日:2023年12月30日
尺:119分